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爪の話・・・第7回 爪をカットする長さ
2014 / 06 / 16 ( Mon )
立て続けに爪の話ですみませんm(__)m
第七回目の今回は爪を切る長さについてです。

爪を切る部分については今までにも少し触れていましたが、今回は長さについてお話したいと思います。
前回までの内容は下記の通りです\(^o^)/
(回を増すごとに長文になってます・・・

第1回目は爪の構造について
http://leafdogday.blog26.fc2.com/blog-entry-704.html
第2回目は爪の切り方について
http://leafdogday.blog26.fc2.com/blog-entry-714.html
第3回目は止血剤について
http://leafdogday.blog26.fc2.com/blog-entry-763.html
第4回目は爪切の道具について
http://leafdogday.blog26.fc2.com/blog-entry-846.html
第5回目は爪を切る頻度とその理由について
http://leafdogday.blog26.fc2.com/blog-entry-846.html
第6回目は爪の形について
http://leafdogday.blog26.fc2.com/blog-entry-859.html

さて、本題です。
爪を切る時はどこで切るのが良いのでしょうか?
第5回の頻度のお話で、爪の血管は伸びたり縮んだりせず、パッドまでしか伸びないため、切るときの目安に!と書きました。
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でも、みんながみんなそこの長さでいいのでしょうか・・・?
10匹10通なので、答えは「いいえ」です。

いくつか切る長さがあるので、それぞれのメリットとデメリットを考えてみました。


【1】カット断面に真皮部分が出ていない状態
  少し長めかな?と思われる方がいるくらいの長さ

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メリット
真皮部分が出ない場所なので、爪を輪切りにカットした場合でも、犬が痛みを感じない
出血しない
爪切りが苦手なわんちゃん向き
関節や四肢に何らかの痛みがあり、できるだけ爪切りでの負担を減らしたい場合に良い

デメリット
フローリングを歩くとカチャカチャ音がする
常に指が浮いている状態になってしまうため、床の状態によっては、指の関節を始め、四肢の関節などに悪影響を及ぼす可能性がある
爪の湾曲がきつい爪の場合、絨毯などに引っかかる危険性がある

【2】真皮部分ギリギリ手前でカットする
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メリット
フローリングでカチャカチャ鳴りにくい
こまめにカットしていれば、真皮層が厚くなり(個体差有)、爪が少しくらい削れても出血しにくくなる場合がある(※第5回目参照)
指に力を入れて握ったとき、爪が床に付く解剖学上ベストな長さなため、関節や四肢に負担がかかりにくい(地面に足を付けたとき指が浮かない)
適度なスパイクになるので走りやすい
地面で常に削れているわんちゃんの爪はこの位置

デメリット
真皮の厚さが分かりにくいため、出血する可能性がある
ギリギリまで切るように、慎重に細かく切るため時間がかかる場合がある
そのため、関節や四肢に何らかの問題を抱えているわんちゃんには不向き
老化またはその他の何らかの事情で爪がボロボロと割れやすい爪の場合、割れて真皮や血管部分が露出する場合がある


【3】爪の根元でカットする

14029181300.png


メリット
ドッグショーなどで指が短くきれいに見える(専門用語で指の握りが良く見えると言います。)
人に危害を加えない
フローリングを傷つけない
伸びるまでに時間がかかるので、爪を切る回数を減らせる


デメリット
出血する
カットするとき痛みを伴うので、麻酔を必要とする場合もある
カット後爪が伸びてこなくなる場合がある(※)


以上はあくまでも私の勝手な意見です。
このほかにももっとメリットやデメリットがあるかもしれません。
また、切る形(角の落とし方や切る角度)でももっとバリエーションがあると思います。

ですので、やはり10匹10通りだと思うのですが、代表的な3つを上げてみました。
どれが正しい切り方だ!とは言いにくいのは、それぞれメリットとデメリットがあるからです。
どれを優先とするかは、飼い主様がわんちゃんがどんな生活をしていて、どのようにしたいのか?
だと思います。トリマーさんとよく相談されるのもいいかもしれません。



ここで3のデメリットの最後の※部分について説明します。

3はトリミングの用語で「血管切り」と言います。
通常では爪を過度に短くカットしたとしても伸びてくる場合がほとんどのようですが、まれに伸びてこなくなる場合があるようです。
その理由について、前回同様に解剖学のエキスパートの浅利先生と大石先生にお答え頂きました。

原因は2つ考えられます。

1つめは
まず、毛は爪と同じように半永久的に伸びる組織だそうです。
しかし、毛には毛根(毛母基)があり、そこが死んでしまうと毛の成長は止まり、抜けてしまいます。
爪にも同じように爪の根元には爪母基があり、そこから爪は伸びていくため、その部分に何らかの障害が加わることで、爪は成長できなくなります。

爪を過度に短くするということは、デメリットにも挙げたように出血します。
爪の根元は血管組織が先よりも太いため出血する範囲も広くなります。
また、血管を含む柔らかい組織に傷を付ける可能性があるという言う事と、出血だけでなく、切断面には炎症が起きます。
その炎症の影響が爪母基まで波及し、爪の成長の鈍化、もしくは成長を止める原因になると考えられるそうです。

2つ目は、
毛が伸びるためには栄養(毛を作る材料)が必要です。
その栄養は血流によって運ばれてきます。
もし、血流が遮断されてしまったら・・・?
毛の栄養は届かなくなり、毛根が小さくなり抜けてしまうと予測されるようです。

爪も同じではないでしょうか?

通常の爪切で、血管の先だけを止血するには止血剤を使うのはまったく問題ありませんが、
爪母基の近くで止血剤を使用したらどうなるでしょうか?
止血剤が爪母基への血流を一時的に遮断、もしくは阻害するかもしれません。

止血剤の効果は一過性のものであり、炎症の波及効果ほど爪母基に与える影響は大きいとは考えにくいのですが、可能性はゼロではないとのことです。


以上が爪が伸びてこなくなる理由と考えられるようです。
(血管切りしたすべてのわんちゃんに当てはまるものではありません。)


余談です。。。
ねこちゃんはお家の中で壁や家具なので爪とぎをしてしまったり、人に危害が加わらないようになどの理由から爪の切除手術をすることがまれにあるそうです。
その方法は爪が巻き付いている末節骨ごと切除するというものです。

わんちゃんにもその手術をする事ができるようです。
その方法は猫ちゃんと同じように骨ごと切除したり、レーザーで爪母基を焼くなどだそうです。
よほどの理由が無い限り、動物愛護の観点からもその手術をすることは無いようです。

わんちゃんの場合は適切にお手入れをすることで、人への危害や、物なのへの被害などを防ぐことができますものね。




ちょっとヘビーな内容になってしまいましたが・・・

結果
やはり10匹10通り!ですね\(^o^)/

リーフドッグではスタッフが爪をじろじろ見て、どんな爪をしているのか?その爪から解る歩き方の癖や四肢の状態などを把握して爪を切るように心がけています。
わんちゃんの爪切りの事ならリーフドッグにお任せください(*^_^*)



今回の記事を書くにあたり、沢山の先生方にお世話になりました!
浅利昌男先生、大石元治先生、中島かおる先生、中島秀輔先生、金子幸一先生、梅原孝三先生、

先生方、本当にありがとうございましたm(__)m


参考:獣医解剖学 近代出版



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